最期の天井

2021年5月4日

20:53

お泊りデイサービスを開業した際に、

宿泊中に体調を崩した際の対応をあまり深く

考えていませんでした。

自宅で過ごしていたおじいちゃんが

ご家族の予定に合わせて短期間宿泊する依頼がありました。

ご家族は

「爺さんは、風邪から病気まで1つの病院にしかかかってないから

何かあったら救急車でそこに連れていって欲しい」

自宅では特に問題なく、普通に家族と暮らしており

とりあえず、体調が変化した時の決まり事として

お話しさせていただきました。

ケアマネージャーさんから頂いた、おじいちゃんのフェイスシート

で既往歴の所に、癌の記載があり気にはなっていた。

家族は「それは、ぜんぜん落ち着いているので大丈夫です」と

おっしゃっていて

「わかりました」とお返事して契約を交わし宿泊することとなりました。

宿泊当日

「なんか、顔色が変だな」と感じたものの

普段の様子を知らなかったために異常が起きているとは最初は

思いませんでした。

けれど、体温・脈・血圧・酸素濃度等の数値も明らかに

正常ではなく

夜間にかけてみるみる状態が悪く変化していきました。

肺がんの終末期でした。

家族との約束通り、救急車を要請しました。

かかりつけは1つの病院だけでしたので、救急隊員の方に

そこへの搬送をお願いしましたが、受け付けていただけませんでした。

いくつのも病院へ搬送許可の依頼をしましたが、高齢であり癌の末期

症状での受け入れは困難を極めました。

結局、救急車の中で、心肺停止となり

駆け付けた息子様は、救急車の中で親の亡骸と対面しました。

今、私は

宿泊依頼を受けた際に

「救急車は呼びません」とお話しさせていただき

いくつかの事例をお話しして理解をしていただいています。

けれど、この経験から’’救急車を呼ばない’’事が

預ける親族の最期の場所をイメージするお話合いを

することへと繋がりました。

最初の段階でお互い信頼関係も築けておらず

預けたい状況の時は、ご家族は焦っていて

「とにかく、任せるから お願い」というスタンスになりがちです。

やはり、ご家族はまだ看取りをイメージする段階には早いと感じる

時から最期の場所を考えることが望ましいと思います。

気楽に泊まれるお泊りデイサービスです。

がゆえに家族の歴史も含めて任されるという重要な任務を自分に

課しています。

最後に眺めたい天井は

病室の白い天井ですか?

家の天井ですか?

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